7日早朝、アメリカ軍、
岩国「愛宕山を
る会」会員を轢殺!
2010−9−8

愛宕山闘争の最中に
日米軍部、政府は、マスコミと警察を使って「凶悪軍事基地」の本質隠蔽に狂奔!


山口県下関市の新聞『人民の星』 5514号から以下引用

岩国自治会長はね殺し事件 米軍は日本人を守らない

 九月七日朝七時一〇分ころ、岩国市門前川の畑仕事をおえて帰ろうとしていた恩田美雄氏(六六歳)が、横断していた川沿いの市道で、米軍岩国基地所属の軍属ジェイミー・エム・ウォーレスの運転する車にはねられ、二〇bもとばされて殺された。犯人のウォーレスは倒れている恩田氏をたすけようともせず、車のなかで携帯電話にむかってわめいていたという。恩田氏の救命行為はすべて近くの住民がおこなった。そして事件後、岩国基地はウォーレスが「公務中である」と発表し、裁判権は米軍にあるとただちに公表した。この事件は、日本の主権がアメリカにうばわれており、日本人はアメリカの奴隷のような地位におかれていることを暴露している。
また、事故をおこしたすべての米兵・米軍属の態度がそうであるが、かれらは日本人の命より自分の安全をまもることを第一にしている。
これが「安保条約」で日本をまもることになっている米軍の本質である。


屈辱的な地位協定 犯人は五時間で釈放
 この事件にたいし、岩国市の錦南地区住民をはじめ、多くの人人はいいようのない憤りをいだいている。ある住民は「事故は“公務中”と新聞で見た。すぐに軍属の女は釈放された。日米地位協定によって日本の警察では裁かれないという。日本はアメリカの属国のような気がしてならない」と語っている。それは、一人二人ではない多くの人の意見となってひろがっている。
 ウォーレスが恩田氏をはねとばし殺した事件について、アメリカ政府や米軍、岩国署や日本政府、マスコミの対応は異常といえるほど迅速かつ狡猾であった。
 駆けつけた住民が恩田氏に声をかけ、ウォーレスの車をとりかこんで基地に逃げこまないようにし、救急車に連絡してのち、警察の車七台と救急車一台がきた。岩国署は自動車運転過失致傷の疑いでウォーレスを現行犯逮捕し、二時間後、恩田氏が亡くなってからは同致死にきりかえたものの、五時間後には「素直にはなしている」としてはやばやと釈放した。
 同日昼頃にはテレビニュースがこの事件をおどろくほどはやくとりあげ、「恩田氏が突然市道にでてきた」「(ウォーレスは)見えにくい場所で発見がおくれたといっている」と報道し、恩田氏にも責任があり、道路も見えにくかったという岩国署発表のウォーレス擁護の主張を大大的に報道した。
 その一方で防衛副大臣・榛葉や防衛省の役人がいちはやく「お悔やみ」にきた。
 翌八日、『中国新聞』が「(岩国署は)横断歩道のない片側一車線。恩田さんは河川敷側から横断中だったと見ている」と、横断歩道をわたっていなかった恩田氏にも責任があるとにおわせる岩国署発表を掲載し、同日の『朝日新聞』は朝刊で一段ベタ記事扱いとし、極力人目にふれず、事件が大問題化しないようにした。「朝日」はあわせて、「見えにくい場所で発見がおくれた」という岩国署発表のウォーレス発言を宣伝した。
 事態沈静化のための米軍、政府の動きは大がかりだった。
 同八日には米軍岩国基地報道部が「ウォーレスは公務中であった」と発表した。「日米地位協定」では「公務中」は米軍に裁判権があり、補償は日本政府がおこなうと規定されており、ウォーレスは日本では裁判をうけないばかりか、日本政府が資金をだして補償せよという方針を公然とだした。

本質をもみ消す米軍と政府
 八日の通夜には、外務相・岡田が生花をだした。九日の告別式には、防衛相・北沢、防衛副大臣・榛葉、広島の防衛局長、岩国の事務局長、米軍関係者が花輪をだし、ウォーレスは夫とともに出席し、それに通訳、渉外担当官とおぼしき米軍関係者が出席し、ウォーレスの夫は、「すみません、すみません」と平身低頭意して手をあわせ、殊勝な姿を披ろうするパフォーマンスまでやった。
 こうして、恩田氏をはね殺した事件で、岩国市民、愛宕山周辺住民の怒りが爆発しないように、米軍、政府、岩国署、マスコミはグルになって事態沈静化に奔走した。そしていつものように、日米地位協定をつかって、裁判権を日本側からうばいとり、補償は日本がやれという処理方式をすすめようとしてきたのである。
 事故をおこしたのは日本の公道である。そこで日本人がはね殺された。しかも犯人はたすけようともしなかった。にもかかわらず、日本国が犯人を裁くことができない。まさに米軍は日本人にたいして“切り捨て御免”である。米軍は日本人を殺す権利をもっているかのような対応である。米軍は「日米安保」と「日米地位協定」によって特権的地位を保障されているのである。この屈辱条約・協定を破棄しないかぎり、こうした事件はつぎつぎと発生するだろう。
 問題は、それだけにとどまらない。沖縄・読谷村で日本人をひき殺した米兵も、裁判のなかで「被害者は通行車に自己の存在を知らせる服を着用しなかった」とひき殺された日本人に落ち度があったかのように主張し、「鳥や、飛行機から落ちてきた部品にぶつかったかと思った」と日本人を鳥や飛行機部品とまちがえたと途方もないうそでおしとおしている。読谷の事件も岩国の事件も、まったく日本人の救助をする気がなかった点で共通している。そして米兵・米軍属は自己弁護にきゅうきゅうとしている。それはかれら個人の性癖ではなく、まさに在日米軍が今日でも日本に原爆を投下して進駐してきた占領軍の性格がいささかもかわっていないということをしめしているのである。
 売国奴である岩国署、日本政府、ブルジョア・マスコミはこのことを容認し、アメリカにひれふし、アメリカ側にたっている。かれらもまた日本人民をまもることはないのである。
 「安保」条約と地位協定によって、アメリカは日本中に基地をおき、米兵・軍属はどのような犯罪をおかしても罪にとわれない。犯罪をおかした米兵にたいして日本は主権を行使できず、米兵は基地ににげこみ、本国に逃亡するのである。日本はアメリカの植民地天国である。このことによって、岩国と日本全国で、どれだけの人人が殺人、強姦、強盗・窃盗などの犯罪の犠牲となり、民族的屈辱をなめさせられてきたか数知れないのである。
 恩田氏の死にむくいるためにも、「安保」条約と地位協定を破棄し、米軍基地を日本からたたきだし、平和で安心して暮らせる独立日本をつくらねばならない。



横断中に男性はねられ死亡 米軍岩国職員逮捕
2010年9月8日(水)山口新聞掲載
7日午前7時10分ごろ、岩国市牛野谷町の市道で、道路を横断していた近くの無職男性(66)が乗用車にはねられ、頭などを打ち、まもなく死亡した。岩国署は乗用車を運転していた米軍岩国基地職員(32)=岩国市錦見=を自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕した。

岩国署によると、現場は片側1車線の見通しのよいほぼ直路。同容疑者は福利厚生部の人事を担当しており、出勤途中だったという。同署は同容疑者が前方不注視だった可能性が高いと見て事故原因を調べる。
■愛宕山米軍住宅化反対運動熱心に…
同男性は、同市愛宕山の米軍住宅化に反対する地元住民組織「愛宕山を守る会」のメンバー。
岡村寛世話人代表によると、守る会設立時のメンバーの一人で、米軍住宅化反対運動に熱心に取り組み、7日も市議会全員協議会を傍聴することになっていたという。

同全協で福田良彦市長と榛葉賀津也防衛副大臣はこの事故に触れ「大変遺憾なことだ」と男性に対し哀悼の意を表し、再発防止に取り組むとした。

米軍岩国基地報道部は「慎んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします」とコメントした。

この事故を受け岩国市は山口県と合同で8日、米軍岩国基地と岩国防衛事務所に「再発防止に万全を期するよう」口頭で要請する。



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岩国 米軍属が住民をはね殺す 占領者意識で増長する米軍

『人民の星』 5513号1面2010年9月11日付

 米軍岩国基地をかかえる岩国市で七日朝、市道を横断中の住民が猛スピードではしってきた基地の米軍属の車に二〇bもはね飛ばされて殺されるという、ゆるしがたい事件がひきおこされた。岩国市民は米軍再編、米空母艦載機移転の計画に「子や孫に二度と戦争のない平和な郷土を、日本をのこすため」とたたかっている。そうしたなかで、市民の命までふみにじる米兵・軍属の狂暴な事件に、岩国をアメリカの植民地にするな、という市民の怒りがつよくおこっている。

見とおしのよい指導 猛スピードで突っ込む
 事件は、岩国市牛野谷三丁目の市道でおきた。七日午前七時一〇分ころ、近くに住む恩田美雄氏(六六歳)が道路を横断していた。そこに、米軍岩国基地所属の軍属ジェイミー・エム・ウォーレス(女性)の運転する乗用車が猛スピードで突っこみはねとばした。現場近くにいた人によれば、ブレーキをかけた様子もなかった。恩田氏は二〇bもはねとばされた。
 ウォーレスは、恩田氏をはねとばしたにもかかわらず、車から外にでて救出しようともせず、車のなかで携帯にむかって大声でわめいており、かけつけた人たちが、恩田氏に「がんばれ」と声をかけたり、救急車をよんだ。
しかし恩田氏は全身をつよくうっており、病院にはこばれたがまもなくなくなった。
 恩田氏は、牛野谷地区の自治会長をつとめ、愛宕山の米軍住宅化に反対する「愛宕山を守る会」でほかの住民の人人と積極的に反対をかかげて行動してきた。
 三日に防衛副相・榛葉が愛宕山開発跡地利用について、岩国市に説明にきたときも仲間とともに抗議行動に参加し、七日も午後からある岩国市議会全員協議会を傍聴する予定のため、朝はやく畑仕事にでた。その帰路、市道を横断中に米軍属のウォーレスの車にはねとばされたのである。
 現場は見通しのよい川沿い市道で、恩田氏の姿は確実に見えたはずだが、ブレーキをかけた気配もなく、ウォーレスが猛スピードでつっこみ、恩田氏をはねとばしたことはうたがいない。
 事故にたちあった男性は、「ドーンと大きな音がしたのでかけつけて見ると恩田さんが耳から血を流したおれていた。救急車がくるまでしっかりしろ、がんばれと声をかけつづけたが反応はなかった」「事故車はYナンバーだった。かけつけた人たちが車の前後をかこみにげないようにしていた」と語った。
 事故現場を見た婦人は「こんなに見通しのよいところで、二〇bぐらいはね飛ばされている。ブレーキの跡もない。そうとうなスピードをだしていたと思う」「米軍属の女性は、見えにくい場所で発見がおくれたといっていたというがウソだ」と怒って語った。

住民のために尽した恩田氏
 恩田氏は六六歳。広島に住んでいたが、一歳のとき父親がフィリピンで戦死し、八月六日の原爆によって姉や親類を殺された。恩田氏は母親とともに岩国にうつった。そして、極貧の生活のなか、母親は、屈辱にたえて米軍基地ではたらいて恩田氏をそだてた。その母親も五一歳の若さでなくなった。そうした境遇から恩田氏は、子どもたちにもやさしく、地域住民の信頼も厚かった。
 知人の男性は「きょう(七日)の午後から岩国市議会全員協議会の傍聴にいっしょにいく予定だった。ゆるせん。日本人をひき殺すようなやつらに、米軍住宅をたてる土地など売る必要はない。これからもこうした事故は再再おこる。沖縄といっしょだ」と怒りをこめて語っている。
 沖縄同様、岩国でも、米兵や米軍属によるさまざまな事件・事故がひっきりなしにひきおこされている。
 さいきんでは、〇七年一〇月に、広島市にでかけた岩国基地の米兵四人が、若い女性をら致し、強姦事件をひきおこした。だが広島県警は身柄を拘束しないまま集団強姦、強盗などの容疑でかたちばかり広島地検に書類送検し、あろうことか広島地検は不起訴処分にした。
 今年七月には、広島県廿日市市で、交通事故をおこした岩国基地の米兵が、負傷させた女性を放置したまま逃走した。
 岩国市では、米兵による交通事故、器物損壊、暴行事件、住居侵入などがあとをたたない。数年前には、花火大会で花火を見てかえっていた女の子を米兵が追いかけて襲おうとした。
 戦後でも米兵による犯罪はかぞえきれない。岩国基地の米兵は、かつては、「鴨とまちがえた」といって住民を撃ち殺したり、老人を橋のうえから川に投げ込んで殺したり、民家に押しいって婦女子への強姦など好き勝手におこなってきた。米軍基地ではたらいていた男性が米兵にナイフで刺し殺される事件もひきおこされた。
 小学生の女の子が強姦され殺されたり、婦人が刺し殺されたりするなど、米兵の凶悪犯罪はたえることがなかった。
 ことに〇一年の九・一一事件後は、米兵は岩国の住民に銃口をむけるようになり、銃をもった警備艇で漁船を追いかけるなど命の危険を感じる事件がつぎつぎにおこっている。そしてついに、恩田氏をはねとばして殺す事件がひきおこされたのである。
 ことに重大な問題は、厚木基地の空母艦載機を岩国基地に移転し、愛宕山を米軍住宅にし、岩国をアメリカの植民地のような街にかえてしまう動きのなかで、民主党菅内閣を筆頭に、二井県政、岩国の民主党衆議院議員・平岡や市長・福田をはじめ、岩国市議会議員の大多数が、自分の私利私欲のためにアメリカの手先となり、岩国をアメリカに売りとばして、岩国を植民地のようにしようと犬馬の労をとっていることである。
 このため米軍と米兵・米軍属はますます傍若無人にふるまい、平気で岩国市民を殺すまでとなっているのである。このような屈辱をいつまでもゆるしておくことはできない。
 空母艦載機の岩国移転や愛宕山の米軍住宅化に断固として反対するとともに、「アメリカは基地を持って帰れ」という大世論をおこし、岩国から日本にたいするアメリカの植民地的支配と屈辱をたちきる大運動をまきおこさねばならない。アメリカの翼賛議会と化した市政や親米議員を一掃しなければならない。それが恩田氏の無念と怒りの意思をひきつぐことである。